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【レンタル】津軽 (新潮文庫)
太宰治

【レンタル】津軽 (新潮文庫)

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私は全作品の中から何か一篇だけ選べと云われるなら、この作品を挙げたい。―亀井勝一郎 太宰文学のうちには、旧家に生れた者の暗い宿命がある。古沼のような“家"からどうして脱出するか。さらに自分自身からいかにして逃亡するか。 しかしこうした運命を凝視し懐かしく回想するような刹那が、一度彼に訪れた。それは昭和19年、津軽風土記の執筆を依頼され3週間にわたって津軽を旅行したときで、こうして生れた本書は、全作品のなかで特異な位置を占める佳品となった。 詳細な注解を付す。 本文より 津軽の現在生きている姿を、そのまま読者に伝える事が出来たならば、昭和の津軽風土記として、まあまあ、及第ではなかろうかと私は思っているのだが、ああ、それが、うまくゆくといいけれど。(「序編」) バスの時間が来た。私はT君と一緒に外へ出た。もう寒くはない。お天気はいいし、それに、熱燗のお酒も飲んだし、寒いどころか、額に汗がにじみ出て来た。合浦公園の桜は、いま、満開だという話であった。青森市の街路は白っぽく乾いて、いや、酔眼に映った出鱈目な印象を述べる事は慎もう。(「本編 一 巡礼」) 考えてみると、津軽というのは、日本全国から見てまことに渺(びょう)たる(注・きわめて小さいさま)存在である。芭蕉の「奥の細道」には、その出発に当り、「前途三千里のおもひ胸にふさがりて」と書いてあるが、それだって北は平泉、いまの岩手県の南端に過ぎない。青森県に到達するには、その二倍歩かなければならぬ。そうして、その青森県の日本海寄りの半島たった一つが津軽なのである。(「本編 四 津軽平野」) 本書「解説」より この作品でもう一つ見のがしえないのは、太宰のサーヴィス精神である。「人を喜ばせるのが何よりも好き」という気持には孤独者の悲哀があるが、また無類のお人好しのところもある。後に『斜陽』の中で、詳しくこの気持を語っているが、『津軽』では故郷人の気質として面白く描かれている。第二節蟹田の「Sさん」の饗応ぶりは、そのまま太宰の姿だと云ってよい。(略) これは人間としての彼のすがたであっただけでなく、作家としての態度でもあった。その窮極の思想を、聖書の中の「隣人への愛」にまで結びつけて行った点に、私は彼の誠実をみる。 ――亀井勝一郎(評論家) 太宰治(1909-1948) 青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

ページ数:260ページ

https://www.amazon.co.jp/dp/4101006040

カテゴリ: 本, 2025年3月入庫

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