
夏目漱石
【レンタル】道草 (新潮文庫)
通常価格
€0,00
【会員登録後にレンタル可能になります】
https://kotchlibrary.com/products/registration
みんな金が欲しいのだ。いや、金しか欲しくないのだ――。 晩年に自身の苦悩を著した、唯一の自伝的小説。 漱石が「人生に悩んで悩んでこれ以上ないほど悩みぬき」生まれた傑作。 海外留学から帰って大学の教師になった健三は、長い時間をかけて完成する目的で一大著作に取りかかっている。その彼の前に、十五、六年前に縁が切れたはずの養父島田が現われ、金をせびる。養父ばかりか、姉や兄、事業に失敗した妻お住の父までが、健三にまつわりつき、金銭問題で悩ませる。その上、夫婦はお互いを理解できずに暮している毎日。 大正(1915)年、朝日新聞連載。「こころ」に続く作品。近代知識人の苦悩を描く漱石の自伝的小説。用語、時代背景などについての詳細な注解、解説を付す。 本文より 彼はけち臭い自分の生活状態を馬鹿らしく感じた。自分より貧乏な親類の、自分より切り詰めた暮し向に悩んでいるのを気の毒に思った。極めて低級な慾望で、朝から晩まで齷齪(あくせく)しているような島田をさえ憐れに眺めた。 「みんな金が欲しいのだ。そうして金より外には何にも欲しくないのだ」 こう考えて見ると、自分が今まで何をして来たのか解らなくなった。 彼は元来儲ける事の下手な男であった。儲けられてもその方に使う時間を惜がる男であった。……(本書183ページ)
ページ数:284ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4101010145
カテゴリ: 本, 2025年3月入庫
※本のレンタル期間は4週間です。ご注文後5日以内に商品のピックアップをお願いします。レンタル日数はお受け取り日から計算します。